下りるために登るとは?
ちょっと前に観た映画「クライマーズハイ」。原作も気になったので読んでみた。
1985年、日航ジャンボ機が群馬県上野村の御巣鷹山に墜落した事故を題材に、それを報道する北関東新聞の記者の物語。・・・と書くと、とても薄っぺらいものになるけど、他の記事との兼ね合いや、他社とのスクープ合戦、命の重さの優劣など、新聞社の担当記者や、事故関係の記事の全権デスクを任された悠木という主人公の心の葛藤が、読みはじめからグッと迫ってくる。
冒頭は、谷川岳の玄関口、JR上越線の土合駅の描写だけど、映画を観た段階では、映像にはなっているけど今ひとつわからなかったのが、小説だととてもわかりやすい。トンネル内のホームから駅の出口まで、何百段もの階段を登らなければならないなんて・・・そこからまだ苦しい登山が待ってるのに、すごいな~ちなみに、悠木の母親や息子との関係など、設定は少し違っていたね。
それにしても、男の嫉妬ってこんなすごいものなのか?女の嫉妬は怖いって漠然とわかるけど、男同士でもこんなことってあるんだなと、ちょっと驚いた。事件や事故なんて、起こそうと思って起きるもんじゃないのに、大久保清の事件や、連合赤軍の事件などに関わったことを、そんなにいつまでも、自慢に思うもんなんだろうか?そして今回起こった未曾有の航空機事故の全権デスクに抜擢された、悠木に嫉妬する同僚たちの行動や言動は、あまりの大人気なさに腹立たしくて哀れにさえ感じる。
谷川岳の衝立岩に一緒に登ろうと約束していた、同僚の安西に「なぜ山に登るのか?」と聞いた答えの、「下りるために登るんさ」と言う謎めいた言葉・・・。読み始めてすぐの段階では、???だったんだけど、読み進むうちにああ、こういうことだったのか!とわかってくる。
女同士も難しいけど、男と男のぶつかり合いもすごいんだな~ということ、新聞は角から角まで読むということはなく、簡単に流し見ている私だけど、毎日紙面を記事で埋めるには並々ならぬ苦労があるんだな~っていうこと、親子の係わり合いってちょっとした行き違いでどう転ぶかわからないな~ってこと・・・いろいろ考えさせられた。
映像化は上手く行ってたのかどうか、私には判断はつかないけど、久しぶりにいい作品にめぐり会えたと思った。
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